パネル廃棄費用の積立について

いま、「電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(通称:FIT法)施行規則」が改正されようとしています。

主にパネルの廃棄費用について外部に積み立てることが改正案の主体ですが、この内容についてご紹介します。

まずこれまでの経緯について簡単に触れておきます。
2017年4月に改正FIT法が施行され20年間の事業計画をもって認定されることになりましたが、実は発電事業終了時の廃棄計画も盛り込んでいなければなりません。
その後、2018年7月には廃棄費用に関する項目が義務化され運転費用報告に追加されます。これは廃棄費用を全く準備していない発電事業者が特に低圧発電設備で多いことが大きな課題となったことによります。

翌年の4月には廃棄費用の確保に関するワーキンググループが設置され制度設計について検討が始まります。
昨年2020年、廃棄費用の確実な積立を担保する制度等を含む再エネ特措法の改正が成立しました。この改正には10~50kW未満の設備に対する地域活用要件、いわゆる「エネルギー供給強靭化法」も含まれています。

まず再認識しておきたいのが、発電事業者が受け取る売電収入にはすでに廃棄費用分が含まれている、ということです。年ごとの売電金額は毎年行われる調達価格等算定員会によって決定されますが、そもそも売電価格は建設費用、運転維持費、そして廃棄費用などをベースに決定されています。
売電で得たお金から運転維持費や廃棄費用などを払わなければならなかったなんて知らなかった、という人も多いのではないでしょうか。

その積立の方法ですが、一部を除いて10㎾以上の全ての太陽光発電事業者が売電量から源泉徴収的に引かれることが濃厚です。その引かれた分を「外部積立」という形で積み立てようというのです。
ただし、買取期間20年間のうち後半の10年間です。
「うちはまだまだ大丈夫だ」と思われるかもしれませんが、2012年から発電事業を開始していれば、早くて2022年7月から源泉徴収積立が始まる事業者も出てきます。

では、その積立の額ですが、その設備の買取単価ごとに細かく定められています。
例えば、2013年度の買取価格36円の設備であれば、kWhあたり1.40円/kWh、つまり、積立の基準額(円)×売電電力量(kWh)が積立金として徴収され、残りが売電収入として支払われることになるのです。

電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法施行規則の一部を改正する省令案等の概要

この積み立てられた「廃棄費用」を設備を解体するときに申請を行なって払い戻してもらうことで廃棄費用を賄うことになります。これを「解体等積立金の取戻し」といい、申請は解体・撤去工事の前後どちらでも可能ですが、前か後かで提出書類が異なります。
また、基本的には積み立てた金額全額が取戻し可能であるとされていますが、廃棄に要した費用なのか実際の積立金額全部なのかは現時点では示されていません。

実際に廃棄してみたら積立金額より高くなってしまった場合、発電事業者が不足分を負担することも明記されています。

発電事業者はもちろんですが、我々メンテナンス技士もしっかり頭に入れておきたいですね。